ドット絵で作る理由
【2019/06/28】 駄文
まず、自分は神経質で完璧主義な部分大雑把な部分がはっきりと分かれた性格です。
始めは几帳面にこなそうとするのですが、ある一定のラインを越えるとどうでもよくなって大雑把になります。
いわゆるキャパオーバーなんですが、そのラインを越える前に終われば問題ないけど、取り組む事案や姿勢によっては妥協して終わる事も多いです。

しかしそれは自分の事に関してのみなので、お仕事のご依頼を考えている方はご安心ください。
雑貨屋の店長をやってた時はレジ内やバックヤードまできちんと整頓されてないと嫌で、他店舗を廻った中でおそらく一番きっちりしてたと思います。
でも自分の家ではそうではないんです。
大掃除や衣替えは大抵妥協して途中から手抜きまたは臭い物に蓋をするように誤魔化して終わります。
自分以外の人が関わらなければ、見切りの早さはイルミの針が刺さっていた頃のキルアも顔負けです。

また、物事の機微について感じる感性も他の人より弱いのだと思います。
脳自体も大雑把なのか、ある一定のラインを越えるとより優れているとかが感じにくいのです。
(ちなみに味覚も味オンチなのでたいていの物は美味しく食べられます)
自分はそのラインをオーバーキルライン(以下OKL)と呼んでいます。
例えば、自分は一応デザイナーなのですが、絵師かと言われるとそこまで描けないのでNOです。
Youtube等で神絵師がアップした作業工程を観ても、着色まで終わった時点でOKLを越えていたら、すごく素敵な絵が完成したなと思ってしまいます。
しかし実際は3割程度の完成度で、それから瞳を書き込んだり、肌にピンクを重ねたり、反射光を入れたりと色々手を加えて完成させます。
完成品と3割の時点を比べるともちろん完成品の方が良いのですが、3割のOKLを越えた時点でどこが不足してるのか想像もつきません
3割以降の作業も、それぞれの部分が出来上がるまで何をしてるかわからない工程中は「これ以上の作業必要かな?」とも思ってしまいます。
FF7のリメイクの3Dモデルが産毛や洋服の繊維まで再現してて話題になってますが、正直そこ必要かなと思ったり…
デザイナーでこの感覚わかる方いないですかね?

イラストの塗りに関しても色々な手法があります。
好き嫌いはあると思いますが、例えば同じイラストで影やハイライトが最低限しかないアニメ塗りと手間をかけた厚塗りを並べて比較すると厚塗りの方が一般的に美麗なイラストと言われます。
でもそれはあくまで並べて比較した場合だけで、その手法内で完成された物であれば単品で見ると問題ないと思うんです。
例えば、厚塗りの美麗なイラストが売りのソシャゲがアニメ化した場合、当然アニメ塗りになるんですが、動きや声や主題歌などが入って全体で一つの完成品として見た時に全然見劣りしない物になりますよね?(一部例外もありますが…)
そう、人は比較対象がないと気にならないものじゃないでしょうか。
もちろん、他の人と比較されるとキリがないですが、自分の作品内だけに留めて話を進めて行きます。

前述したとおり、自分はキャパオーバーするとクオリティが維持できなくなる可能性があるので、作内でクオリティコントロールをして統一感を出すために、初めから制限された手法であるドット絵を選んだというのが理由の一つです。
もちろんドット絵と言っても初期ファミコンのようなものからFF6やメタスラみたいな描き込みのものまで幅広いので一概には言えないんですが…
また、ドット絵はきっちりパースを取らなくても違和感が出にくいという風潮というか特権みたいなのがあります。(断言したら怒られそう…)
真横視点でも見下ろし視点でも素材が使い回しやすいので、一人で制作するには大きなメリットです。
ただ、描画ソフト上での拡大縮小・回転に弱いというデメリットもあるんですが…
あとは単純に好きだからという理由です。
自分の世代的に、遊んできたゲームの大半をドット絵が占めていたので、条件反射でワクワクしてしまうのでしょうか。

一応少しだけデザインやイラストをかじった自分でも、及第点より上のクオリティアップはあってもなくても気にならないので、一般のユーザーやプレイヤーも気にならない(もしくはそもそも気付かない)のではないかと思っています。
最初に意気込みすぎて、制作初期の描き込みが維持できずに途中で力尽きてエターナるパターンを何度か目にしてきました。
特にこだわりの強いイラストレーターの方が、ゲームを作ろうとするケースに多いと思います。
現に以前会社にいた頃、イラストレーターの新人は最初に全体の規模が見えずに描き込みすぎて、納期直前は残業続きというパターンをよく見てきました。
ドット絵でなくても、塗りを変えてみたり、キャラの頭身を落としてみたり、クオリティの初期設定を抑えてみるとエターナる確率を下げられるんじゃないでしょうか。
チームで制作する場合も、ついついイラストレーターにより良いクオリティを求めてしまうかもしれませんが、全体が見えているディレクターの方が全ての作業量を鑑みてクオリティ設定を提案すると良い結果になるかもしれませんね。
(イラストだけでなくシステムの盛り過ぎにも言える事ですが…)

他にも自分が心がけている描き方とかも掘り下げようと思ったのですが、例のラインを越えて締めたくなってきたので、また次の機会にでも…
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。