なぜUnityで作らないのか?
【2019/03/28】 開発
「Unity製ですか?」

ゲーム開発者なら誰もが一度は受ける質問ではないでしょうか。

以前のブログにもプロフィールなどにも書いてますが、私はUnityを使って開発をしていません。
その辺の理由を綴ってみようと思いますが、決してUnityを否定したり、貶めたりする内容ではありません

まず、前にも書きましたが何を使って開発しているかというと『Clickteam Fusion2.5(通称CF2.5)』というおフランス製のゲーム開発エンジンです。
日本名は『インディーゲームクリエイター』というインディーゲームを作りたいクリエイターにはピッタリの名前です。

CF2.5の特徴としてはプログラム言語がわからなくてもアイコンやスクリプトを選んで数値を設定して組み立てる事でゲームが作れるという点です。

これだけだとツクールみたいな感じかなと思うかもしれませんが、全然違います。
ツクールのように特定のジャンルに特化して作りやすく専用のスクリプトが入ってるわけでも、すぐに使える素材が入っているわけでもありません。
全て自分で素材を用意したり、0からシステムを作り上げる必要がありますが、だからこそツクールと違って様々なジャンルが自由に作れるのです。

ではUnityと比較するとどうでしょうか?
まず、Unityと比べると出来ない事も多いです。
CF2.5も3Dに対応してるっぽいのですが、Unity程ゴリゴリの物は作れないと思います。(3Dは触った事ないので詳しくないです)
さらにUnityに比べてユーザーも少ないので日本語の情報が少ないです。(日本語の技術書とかも皆無です)
その代わりエディタが日本語対応していて、日本語のヘルプもエディタ内にあります。
Unityも少し前に日本語対応になりましたが、出回ってる情報自体が英語のUIなので、日本語版だとどこを指しているのか分かりにくく、日本語版が浸透するにはしばらくかかるんじゃないかと知り合いのUnity使いが言ってました。
あと、Unityは無料版でもそれなりに使えるようですが、CF2.5もフリー版はあるものの、ちゃんと作ろうとすると有料の製品版が必要です。

そして最も重要な取っ付きやすさは圧倒的にCF2.5だと思います。
プログラム言語未習得だからという訳ではなく自由度の問題です。

例えばツクールがバイキング形式のオリジン弁当とします。(福岡にないので行った事ないけど)
すでに調理された好きなおかずを選んで手軽にその日の食卓を用意できますし、ちょっとアレンジすれば別のおかずもできない事もないでしょう。

それに対してCF2.5は小さなスーパーマーケットです。
特殊な調味料が揃わなかったりしますが、たいていの料理なら作れますし、そこまで広くないので初めてでも食材は探し易いでしょう。

ではUnityはというと、本場アメリカのコストコです。(しかも『26世紀青年』の超巨大なヤツ)
料理だけでなく、なんならテーブルやイスまで調達できますが、広くて物が多いゆえに初めて行くと戸惑うでしょう。
「過度な自由は一歩間違うと無秩序と混沌の味がする」とどっかの詩人が言ってました。(嘘、今思いついた)

個人の勝手なイメージですが、あながち間違いではないと思います。
注)ツクールもプログラムで拡張したりできますが、それぞれ説明の為に特にツクールは誇張してます。

映画『26世紀青年(邦題)』の地平線の彼方まで伸びる超巨大コストコ(中には大学もあるよ)

最初はプログラム担当と組んでUnityで作ってましたが、急に一人でやる事になって、(その辺の事情は過去のブログをご覧ください)
少しだけ触った事のあるUnityは最初から選択肢に入ってませんでした。
未知の可能性にわくわくする人もいると思いますが、その時の自分にはもっと合理的で現実味のある”自分でも作れる”という確固たるイメージが必要でした。
なぜなら、まず大前提として趣味でゲームを作るわけではなく、会社を辞めた以上、生きるために作らなくてはならないからです。
エターナる事など許されないし、一人でプログラムまで担当するという決断をしたからには、自分を追い込むためにバイト等の片手間で作るのではなく、貯金がある内に集中して作りたかったのです。
なのでプログラム言語学習という段階をすっ飛ばしてゲーム制作に入れるという部分は重要でした。
そして完成したゲームをイメージした時にゲームシステム的にもアプリとしてのリリースも広告や課金の実装もCF2.5の機能があれば充分だという事がわかりました。
これらの要因を総合してCF2.5でやっていく事を決めました。

それでもやはり最初は分からない事だらけだったし、つまづく事もありました。
最初苦労してるのを見た一緒に組む予定だったプログラマーに「マイナーなエンジン使うから…」「エンジンとしての未来が微妙…」「Unityにしちゃいなよ」とマウントを取られるUnityハラスメントもしばしばありました(笑)
(Unityなら教えたり力になれるよという優しさの意味もあったと思いますが)

Unityハラスメントの一例(ユニティちゃんはこんな事言わない…ユニティちゃんはね…)

そんな事言われても、もうすでに初期投資しちゃってるし、時間もなくて後戻りできないから「なにくそっ!」という思いをバネに、先人たちの助けも借りながら処女作である『魔法少女クリティカル』を作り上げました。
そのプログラマーには「正直作れると思ってなかった。絶対途中で挫折すると思った。」と言われました。
そして「その執念と勤勉さがあればUnityとか普通に使えるようになる」とも。

もし作りたいゲームがCF2.5の機能だと不十分な場合はUnityに移行する事もあるでしょう。
でも初期投資として
●CF2.5本体
●デベロッパー版へアップグレード(広告を入れたり課金が実装できたりする上位版)
●AndroidとiOSのエクスポーター(アプリ用にビルドできます)
●HTML5エクスポーター(これは1年後に買ったので初期投資ではないですが)
計6~7万かかってます。
なので元が取れるまで移行するつもりはありません。

ではアプリの売上が7万を超えれば良いのかというとそういう事ではありません。
もし売上が投資額を上回ってすぐにUnityに移行して使いこなせるようになってしまったら、きっと「始めからUnityにすれば良かった。お金も時間も遠回りだった。」とCF2.5をマイナスな印象のまま封印してしまうと思います。
CF2.5の取っ付きやすさや作りやすさ、先輩のCF2.5使いの方々にも大変助けられました。
なのでUnityに移行するのは、CF2.5を限界まで使い倒して、いっぱいの感謝の気持ちを持って卒業できる時だと思います。
そういう意味で元が取れるのはお金じゃなくて、沢山の作品を作る事です。

遊ぶ側からすれば、作る側のそんなモチベーション関係ないし、より良いゲームを作るためにはより優秀なエンジンを使うべきと思う方もいるかもしれませんが、CF2.5も充分優秀なポテンシャルを秘めていると思います。
面白いゲームとは美麗なグラフィックでもなければ豪華声優とかでもなく、ゲームシステムや世界観だと思うので、自分のドット絵のゲームは容量も少ないし必要スペックも低いのでCF2.5でも全然事足ります。
確かに癖もあるし、RPGなど大量のデータベースが必要なジャンルには弱いし、対応してる広告も少ないです。
コンシューマーに移植するには開発元の変換サービスを利用する必要があり、英語のやりとりができないとハードルが高いです。
でももうすぐ上位版のCF2.5+も出るし、CF3の開発も進んでいて、まだまだ進化していくと思います。
今は少し厳しいリアルタイムのネット対戦もきっといつか出来るようになると期待してます。
それに結構有名作品もCF2.5で作られてたりするんですよ。




卒業するまでに作品を作り続ける事で、感謝の気持ちを何かしらの形で盛り上げたり貢献出来ればと思います。
最終目標はCF2.5でのコンシューマー移植かな。
まだまだCF2.5との付き合いは永くなりそうです。

CF2.5に興味が湧いて、もっと知りたいという方は日本の公式ページをどうぞ。
もうすぐ2.5+が出るからかパッケージ版がセールになってます。
http://www.clickteam.jp/
Steam版も頻繁にセールしてますよ。

長くなりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。