『ぼっち勇者』を振り返って(ToLOVEる編)
【2019/01/05】 ゲーム
(始動編はこちら


さて、3年越しにやっと実装に入ったのですが、その間に色々な変化がありました。

まず、iPhoneXの登場
そして実装に入った4月からは未対応のアプリは審査に通らなくなりました。
今作は縦画面なので、端末の縦幅に応じてUIなどのY座標を調整して対応する事にしました。
おそらく使用しているゲームエンジンの特性上(自分の技術不足かもしれませんが)ベストな方法ではないかと思います。

しかし、そうした場合は縦のアスペクト比が一番低いiPadを基準にする必要が出てきました。
iPadは捨てるか迷いましたが、『魔法少女クリティカル』で「iPadで遊べて嬉しかった」というお声も頂いたので無下にできず…
更にiPhoneXから両端にマージンを設けないといけないという制限が追加されました。
つまり以下のように素材を準備しないといけないという事です。
UI設置可能領域が縦横共に狭まったのでUIを全て描き直す必要が出てきました。
背景も描き足さないといけません。

「え?少しだけ拡大縮小すればいいのでは?」と思うかもしれませんが、そうもいかないのです。
ドット絵は拡大縮小に弱いというのもありますが、やろうと思えばできない事もありません。
しかし、使用しているゲームエンジンで拡大縮小時にガタガタにならないようにスムースリサイズ(アンチエイリアス)有りにすると、内側にボカシが入ってしまい、タイルチップ等の間に透明な線が入ってしまう仕様なのです。

UIを全体的に小さく描き直すにあたって、最も大変だったのが文字部分です。
フォントは『Pixel Mplus12』を24pxで使用してましたが、入らないので12pxにすると画像との解像度の違いからレトロっぽさがなくなってしまいました。
そこで『太字タイプ』で少しでも解像度を合わせる事にしたのですが、一部の文字の視認性が気になり、一つ一つ手直しする事に。
『Pixel Mplus12(太字)』を使ってるアプリはいっぱいあって、完成品をプレイしてる分にはあまり気にならないんですが、自分で作る時、特に拡大して作業してる時は1ドットがすごく気になってしまって、傍から見れば馬鹿な事をやっていると思われるかもしれませんね。
基本的に自分のアプリのテキストはゲームエンジンの性質上ほぼ画像です。
今作は図鑑などのフレーバーテキストが多く、ローカライズも含めて既に用意していたテキスト部分の描き直しはかなりの痛手でした。
(おのれ…Apple…)

そしてアプリ制作と平行して始めた事があります。
独立を手伝った会社の報酬が1円も支払われてなかったので、法的に請求するために動きました。
一年も放置していたのは、勉強中に他に意識を奪われたくなかったので、1作目が出来上がって時効になる前のタイミングで動き出しました。
あまり長引かせたくなかったので、金額も条件もかなり譲歩しましたが、1ヶ月も時間を取らてしまいました。
いずれこの未払い金請求については、どのように動いたかまとめようと思います。

それからトラブルではなく、ありがたい事にHP改修という大きな受注のお仕事を頂き、1ヶ月ほどそちらの作業を優先しました。

と、これまでは外的要因ですが自分でも大きなミスをしてしまいます。
それはオーバーフロー問題です。

オーバーフローとは、簡単に言うと「桁あふれ」と言って、処理できる数値の上限を超えるとエラーが発生する事です。
今作の最大所持金は999,999,999,999,999,999Gの18桁で、ゲームエンジンの変数の上限が2,147,483,647なのでフルに使えるのは9桁しかありません。

オーバーフロー自体は認識していて一番最初に対策を取りました。
それは文字列として格納するという方法で、テストしてみると問題なく表示できました。
しかし、完成が見えてきた頃に通しでテストプレイしてみると、途中から表示がおかしくなりました。
原因は計算の処理が発生する事を一切視野に入れてなかった事です。(バカか…)
直に格納すると表示できたので、それで安心してしまって実際に計算してみるというテストをしてませんでした。
そして9桁以上の計算結果でエラーが出たと…

しかも既に対策したという先入観からなかなか原因に気付けませんでした。
気付いた後に別の対策をするのですが、修正に1ヶ月を費やしてしまいます。

というのも、各パラメーターには暗号化処理をかけてるんですが、ゲームエンジンの暗号化がiOSに対応してないので、自分で各パラメーターの増減処理が発生する度に決められた数値を掛けたり割ったりする処理を挟んで暗号化していました。
それが絡み合って中々修正が進まず、出来たと思ってもどこかに残っていて箇所の特定も時間がかかるという泥沼にはまってしまったのです。
この一ヶ月の作業は終わりの見えない暗闇を走ってるみたいで本当に苦痛でした。
(このアプリに対する愛が少し薄れるには充分なくらい…)

そんなこんなで3ヶ月で実装という目標から大幅に遅れている所に、Appleのガイドライン変更でギャンブルを連想させるアプリが出せなくなるという追い討ち。
(独自の暗号化かける意味なかったじゃん…おのれ…Apple…)
問題なく開発が進んでたらガイドライン変更前にリリースできたかもしれぬ…(すぐにリジェクトだろうけど)
でもその頃には泥沼のせいでモチベが底を突いており、iOS課金実装や審査がなくなっただけ早く次のアプリに移れるとプラスに考えました

あと、iPad用にUIを調整して上下にスペースの余裕ができたのでAdMobのバナーを置いて少しでも収益を上げようと思ったのですが、ゲームエンジンの直前のアップデートでAdMobが表示されないバグが発生したのでバナーも断念

最後にAndroidのリリース1週間前に、メディア様用にパラメーターが上がりやすく進めやすい、課金アイテム増し増しにしたテスト版をストアに用意してプレスリリースと一緒に送りました。
しかし、クローズドテストとオープンテストを間違えて、一般ユーザー100人程にバランス度外視版がダウンロードされてしまいました

色々やらかした結果、動向や収益はというと…


完結編につづく


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