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『魔法少女クリティカル』を振り返って |
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【2018/03/19】 ゲーム |
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なんとか無事iPhone版もリリースできたので今作を振り返ってみようと思います。
まずは制作に至ったいきさつを。
以前、会社在籍時に同じようなコンセプトのアプリを企画・デザインを担当してリリースしたことがあります。
Androidはもうストアにはありませんが、iPhoneはまだストアに残ってるのでタイトルは伏せて、仮に『旧作』と表記します。
しかし制作期間が1.5ヶ月しか貰えなかったので、プログラマーさんにも無理をして貰ったにも関わらず、操作性も良いとは言えない、バグも多い、企画段階よりボリュームを大幅カット(敵・魔法を半分カット、ボス戦全カット)して未完成のままアプデで追加するという形でのリリースでした。
さらに初動の売上に調子に乗ったアプリ部署のリーダーが誤タップするように広告を増やしまくった結果、単価が大暴落&ヘイトの溜まったユーザーが大量に離れ、1週間後には売上が1/100以下になってしまい、売上だけしか見ない上層部は爆死アプリのアプデに予算を割けないとの判断を下しました。
それでもステージ追加はプログラマーに頼らずにマリオメーカーのように簡単に出来たので、ステージだけ水増しを続けるように提案されました。
しかし、敵もギミックもカットされてステージの差別化も難しいし、既にボスなし状態でリリースしてるのでボス戦の追加も無理、追加の魔法を覚える等の新しいユーザー体験もなくストーリーも進展しないなら、お茶を濁してごまかすような真似は逆に楽しみに待ってくれているユーザーに失礼だと思って断りました。
なにより、売上だけを見てクリエイターとユーザーをないがしろにする会社の体制にもう何も期待しなくなり、退社を決意しました。
色々な事情があって実際に退社するまで1年近くかかるんですが、それからは自主的に企画をする事を止め、提案された企画を自分なりにブラッシュアップはしつつも消化試合のように仕事をこなすのみでした。
会社という組織は業績を求めないといけないというのは仕方のないことですが、色々なしがらみにより満足の行く作品が作れた事がなかったので、一人でやるなら自分のわがままを全部通してみたいという気持ちで制作に臨みました。
未だにレビューやツイートで旧作のアプデを待ってくれているユーザーの為と、自分の中の消化不良を解消する為に旧作の主人公を変えてグラフィックを全て描き直してリブートしたのが本作になります。
主人公を魔法少女にしたのは、アニメとかでよくある【仲間が攻撃力のある必殺技で弱らせて、主人公が攻撃力があるのかないのかよく分からない浄化で締める】というパターンを観てて「この浄化ってRPGの魔法だったら確実に使えない部類だよね」と思ったのがキッカケ。
旧作が元々ファンタジー世界だったので主人公を魔法少女に変えたら異世界モノになってしまいました。
わがままを全部通したいとは言いましたが、ゲームエンジンの使い方を学びながらなので、欲張らずにボリュームを調整して制作を始めました。
まずボリュームは抑えつつも、旧作越えはしないと意味がないのでステージは倍の全40ステージに。(旧作は20ステージ+アプデで追加と言いつつ追加なし)
魔法の種類も2倍の4種類、ほぼ全カットされたギミックとボス戦も採用することに。
コレクション要素などの追加システムに伴い、ステージの広さも2倍以上になりました。
一見ボリューム増えてんじゃんと思うかもしれませんが、旧作の本来想定していた自分が本当に作りたかった物と比べて抑えました。
そして大前提としてきちんと完成したものをリリースする事。
またボリュームだけでなく、クオリティも抑えました。
まず、初めてなので完成までの期間の目安と完成品の容量の想像がつかなかったので、アニメーション枚数は最低限に抑えました。
背景もあまり描き込まず最小限のサイズでリピートできるようにして、レイヤーも最小限にしました。
BGM等は旧作を遊んでいた人には分かるようにほぼ同じものを使用しました。
音関連はフリー素材をお借りしたので前の会社に権利などはありませんが、グラフィックは全て描き直さないといけません。
描き直すに伴い、サイズを「旧作:32×32px」から「今作:48×48px」に大きくしました。
旧作では時間の都合で描けなかったエフェクトもアニメーション枚数を抑えながらも必要なものは極力用意しました。
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そんなこんなで制作は9ヶ月、Android版リリース後もシステム追加やバグ修正、iPhone版への移植を含めると約1年かかりました。
当初は4ヶ月位と思ってたんですが、初めて触るゲームエンジンだし、問題に直面した時の引き出しが少なく延びに延びました。
基本システムは2~3ヶ月で出来たんですが、スマホでプレイするとすごく重たかったので試行錯誤の結果根本的に作り直すことに。
その後に敵を実装していったのですが、想定より遅れていたので中ボスは削る事に。
画像まで用意していた魔法を反射する「カーバンクル」も活かせる場面を準備できそうになかったのでお蔵入りに。
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チュートリアル的な物もなるべく最小限に抑える為に【チュートリアルがなくても自然に学習できるゲーム】を目指し、「ゲーム夜話」さんのこちらの動画を参考にしました。
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説明もなるべくデモの会話中に混ぜる事でチュートリアルのやらされてる感を軽減したかったのですが、技術不足で少し不親切になってしまいました。
今作はマリオよりも「高さのあるゼルダ」を意識して作りました。(リンクの冒険と言った方が早いかも)
参考動画ではマリオとゼルダの遊び方の違いを明確化してましたが、その部分に関してはチュートリアルよりも難しく、明確化ができてませんでした。
移動スピードがゆっくりめなのは急いで闇雲にゴールを目指すより、着実に敵を倒しながらステージを探索して欲しかったからでもあります。
横スクロールという先入観からマリオのようにプレイする方も少なくなく、カメラワークが理不尽に感じたり、ゲームスピードがもっさり感じてしまったようです。
レビューなどで頂いた厳しい評価もありがたく受け止めて糧とさせて頂きます。
本来作りたかった物と比べると半分位のボリュームにはなりますが「追加ギミック+ボス戦+エフェクト×ステージ数2倍×ステージの広さ2倍×魔法2倍×サイズ1.5倍×製作期間8倍の旧作を上回る1200万パワー」という事になります。
それでも処女作だし、スーパーマリオ1よりステージは多いので頑張ったほうだと今は自分を褒める事にします。
旧作のリブートといいましたが、正しくはスピンオフに近いです。
旧作は思い入れもあり、入れられなかった設定やストーリーも膨れ上がっているので、いつかリメイクしたいです。
権利の関係でそのままは無理なので、「ロックマン」→「マイティNO.9」みたいにコンセプトはそのままにキャラデザも一新して生まれ変わらせたいですね。
今回はより多くの人に遊んでもらいたかったので、間口の広いスマホで基本無料という形態でのリリースでした。
スマホで操作という事を考慮して、スティックの上下入力を排除してそれに伴う行動などもありません。
画面を圧迫するのでボタンも最小限にしましたが、プレイの幅に限界が出てきてしまいます。
スマホでの操作に対するストレスを軽減する為に緻密な操作を要求しないような設計にしたつもりです。
アクションが苦手な人はジャンプの度に高度調整に意識を取られるのが苦手なようなのでジャンプ高度も一定にした結果、逆にやり辛く感じた方もいるでしょう。
なので次に本格的なアクションゲームを作る時はコントローラーで遊べるようにPCやコンシューマー機向けに作りたいなと思っています。
旧作は会社がお金をかけてプロモーションをし、まだあまり大手のゲーム会社がスマホに参入してなかったカジュアルゲーム全盛期の頃だったせいもあって、未完成でバグ満載かつ操作性も良くないにも関わらず初日だけでも80万の広告収入がありました。
しかし、今作は広告漬けだった旧作の反動と快適にプレイしてもらう事を優先して画面内に広告を置いてません。
知名度も無い新規のデベロッパーで個人のプロモーションなのでDL数も少なく、ぶっちゃけ一日の収益はジュース1本買えるくらいです。
まあ、今回は半分自己満足でもあるし、開店セールみたいなものなので収益よりもブランディング優先として「またここのゲーム遊んでみたいな」と思ってもらえればそれで良いかなと思っています。
次に本格的なアクションゲームを作るのはまだまだ先になりそうですが、それまではアプリでカジュアルゲームを作って資金を溜めようと思います。
次からはもう少しマネタイズも考えねば。
このブログを持って気持ちを次回作に切り替えようと思います。
次はもっと早く作れるといいな。
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